訳アリなの、ごめんなさい
どうやら、朝もまだ早い時間に目が覚めたらしいが、早速やらねばならないことが山積していたので、シャワーを浴びて、身繕いを整えると、すぐに妃殿下の部屋へ向かった。


「あら?朝食を一緒にいかが?」

昨日の今日で少し心配ではあったのだが、、、意外にもスッキリとした顔をして迎え入れられて拍子抜けしまた。


「お、お加減は?」

「大丈夫よあなたのおかげね」

「それは、良かったです。」

戸惑いながらも、彼女の対面の椅子に座る。

あまり食欲がないのでサラダとジュースだけにしてもらった。



「殿下に、お話をさせていただきました」

サラダに手をつけながら窺うように言うと、彼女は苦笑する。


「そう。殿下はなんと?」

「直接お話をされたいそうです。
あなた様のお気持ちを知った上で提案したいと」

昨晩の落とし所を伝えるのが、今朝の私の役目で、その言葉に彼女は可愛らしく小首をかしげる。

「提案?」

「はい、‪昨晩の‬ようにセルーナ様が無理をしないことを殿下はお望みです」


「殿下が、そんなことを?
わたし、昨日の一件で愛想を尽かされると思ったのだけど」

理解ができないと言うような顔をしているので私はゆっくり首を振る。

「初夜は完遂できたのです。問題ございません。」

だから気にしなくていい、務めは果たせたと伝えてほしいと、言われているのだが、そこまで言う前に目の前の妃殿下がどこか腑に落ちない顔をした。

「そう、ね?」

何故かこちらに問うように言われる。

「え?違うのですか?」

咄嗟に聞いてしまい、しまった!と思う。
夫婦のことに、あまりに不躾な質問かもしれない。

しかし目の前の妃殿下は、そんな事さして気にもしない様子で、周りを見渡す。

侍女達を払ってある事を確認すると、彼女は少しこちらに身を乗り出して、声を潜めた


「私ももよくわからないのだけど、、多分子種をいただくところまでは、、、」


なんと表現すべきかわからないけど、恥ずかしげもなく淡々と報告される。


「そうなのですか!?」

慌てて聞き返せば、こくりと彼女はうなずいて。

「だから、完遂かというと、、、ねぇ」

困ったように首を捻った。


たしかに、それは完遂ではない、、、。


「でも殿下は完遂されたと、、、」
そこまで言って、口をつぐむ。

2人で顔を見合わせて、しばらく視線でやり取りする。


「そこは、まぁ気にしないことにしましょうか」
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