訳アリなの、ごめんなさい
セルーナ妃の部屋を辞して、すぐさま自室の反対方向に向かう。
長い廊下の先に、騎士が2人立っていた。
顔を、見たことはある。
あちらも、こちらに気がついて礼を取った。
「エドガー事務官にご用があるのだけど?」
そう伝えると、彼らのうちの一人が聞いていたというように頷いて。
「こちらです」と案内をしてくれる。
一つ角を曲がって、すぐの扉を彼がノックして
「アリシア・コーネリーン嬢をご案内してまいりました」
そう伝えると、すぐに扉が開いた。
扉を開いたのはエドガーで、驚いたことにその背後には王太子殿下がいて
「待っていたよ!アリシア嬢」
相変わらずなキラキラなお顔で私を迎えたが、その顔は浮かない。
どうやらここはエドガーの執務室ではなく、王太子殿下の執務室らしい。
「彼女の様子はどう?」
部屋に招き入れられて、私にソファを勧めると、こちらが座るのも待てずに殿下は質問してくる。
彼の背後に控えるエドガー事務官が「落ち着いて下さいよ!座る間くらい待てるでしょう」
と呆れているが、彼は聞こえてないのか、いそいそと私の対面の1人がけのソファに腰掛ける。
「ご体調も大丈夫のようです。
殿下のお話をお聞きすることはできるので、お時間のある時にといわれております」
「そうか!ではすぐ行こう!」
「殿下!」
素早い身のこなして、腰を浮かせた彼を、エドガーが事務官が、鋭い口調で止める。
「まだ朝も早いです。貴婦人を訪ねるにはすこし早いかと」
静かな声で諌めた。なるほど、ブラッド達がエドガーなら殿下に遠慮なくものが言えると言っていたのはこういう事なのかと納得した。
「そ、そうか、たしかにそうだな」
諫められた殿下も、どうやら紳士の本分を思い出したらしい。もう一度ソファに座り直して、しゅんとする。
彼には手綱を握るエドガーがいて丁度いいかもしれない。
「そうですね。
もう少しだけお待ちくださいませ」
苦笑してエドガーの案を支持する。
すると、何故か急に殿下はまじまじと私の顔を見る。
「本当にあなたを雇って良かった。」
しばらくの後、改めて姿勢を正して言われて、私は慌てて首を振る。
「それほどの事はしておりません。」
「ひとつ聞いていいかな?どうしてブラッドと別れたの?」
これは興味本位なんだけど。と少し遠慮がちに笑った殿下に見つめられて、私は戸惑った。
こんな美しい顔にジッと見つめられてしまう事なんてそうない事で、居心地が悪い。
これがこの人の戦略なのかと、腹の内で納得した。
たしかに、なんでも話してしまいそうだ。
ぐっと腹に力を入れて、わざと困ったように微笑む。私だってそれなりに場数は踏んでいる。
私が簡単に落ちないと理解したらしい彼がハハっと笑って背もたれに背を預けた。
「もし元鞘に戻るのなら、わたしが婚姻の証人になってもいいんだよ?流石に王太子の認めた婚姻を君のご家族は無碍にはできないだろうからね」
意味深に言われて、私は唾を飲み込んだ。
どうやらわたしの家庭のことが多少はバレているらしい。
まぁいずれは、と思っていたのでそれほど驚きはない。まぁ予想より早かったなぁというくらいだ。
「御温情には感謝いたします。そういうことがもし起こればお願いいたしますわ。」
だから、あらかじめ用意していた、当たり障りのない言葉と表情を貼り付けた。
「その気は無しか、、、」
「そのようですね」
私の意図を正確に理解した殿下とエドガーが苦笑したので、私は困った顔を作って黙って微笑んだ。
長い廊下の先に、騎士が2人立っていた。
顔を、見たことはある。
あちらも、こちらに気がついて礼を取った。
「エドガー事務官にご用があるのだけど?」
そう伝えると、彼らのうちの一人が聞いていたというように頷いて。
「こちらです」と案内をしてくれる。
一つ角を曲がって、すぐの扉を彼がノックして
「アリシア・コーネリーン嬢をご案内してまいりました」
そう伝えると、すぐに扉が開いた。
扉を開いたのはエドガーで、驚いたことにその背後には王太子殿下がいて
「待っていたよ!アリシア嬢」
相変わらずなキラキラなお顔で私を迎えたが、その顔は浮かない。
どうやらここはエドガーの執務室ではなく、王太子殿下の執務室らしい。
「彼女の様子はどう?」
部屋に招き入れられて、私にソファを勧めると、こちらが座るのも待てずに殿下は質問してくる。
彼の背後に控えるエドガー事務官が「落ち着いて下さいよ!座る間くらい待てるでしょう」
と呆れているが、彼は聞こえてないのか、いそいそと私の対面の1人がけのソファに腰掛ける。
「ご体調も大丈夫のようです。
殿下のお話をお聞きすることはできるので、お時間のある時にといわれております」
「そうか!ではすぐ行こう!」
「殿下!」
素早い身のこなして、腰を浮かせた彼を、エドガーが事務官が、鋭い口調で止める。
「まだ朝も早いです。貴婦人を訪ねるにはすこし早いかと」
静かな声で諌めた。なるほど、ブラッド達がエドガーなら殿下に遠慮なくものが言えると言っていたのはこういう事なのかと納得した。
「そ、そうか、たしかにそうだな」
諫められた殿下も、どうやら紳士の本分を思い出したらしい。もう一度ソファに座り直して、しゅんとする。
彼には手綱を握るエドガーがいて丁度いいかもしれない。
「そうですね。
もう少しだけお待ちくださいませ」
苦笑してエドガーの案を支持する。
すると、何故か急に殿下はまじまじと私の顔を見る。
「本当にあなたを雇って良かった。」
しばらくの後、改めて姿勢を正して言われて、私は慌てて首を振る。
「それほどの事はしておりません。」
「ひとつ聞いていいかな?どうしてブラッドと別れたの?」
これは興味本位なんだけど。と少し遠慮がちに笑った殿下に見つめられて、私は戸惑った。
こんな美しい顔にジッと見つめられてしまう事なんてそうない事で、居心地が悪い。
これがこの人の戦略なのかと、腹の内で納得した。
たしかに、なんでも話してしまいそうだ。
ぐっと腹に力を入れて、わざと困ったように微笑む。私だってそれなりに場数は踏んでいる。
私が簡単に落ちないと理解したらしい彼がハハっと笑って背もたれに背を預けた。
「もし元鞘に戻るのなら、わたしが婚姻の証人になってもいいんだよ?流石に王太子の認めた婚姻を君のご家族は無碍にはできないだろうからね」
意味深に言われて、私は唾を飲み込んだ。
どうやらわたしの家庭のことが多少はバレているらしい。
まぁいずれは、と思っていたのでそれほど驚きはない。まぁ予想より早かったなぁというくらいだ。
「御温情には感謝いたします。そういうことがもし起こればお願いいたしますわ。」
だから、あらかじめ用意していた、当たり障りのない言葉と表情を貼り付けた。
「その気は無しか、、、」
「そのようですね」
私の意図を正確に理解した殿下とエドガーが苦笑したので、私は困った顔を作って黙って微笑んだ。