訳アリなの、ごめんなさい
王太子殿下の来訪を伝えられて、セルーナは深く息を吐く。

「御通しして」

入室してきた彼は、相変わらず眩しいほどの美男で、元気がない様子なのにそれでもキラキラとしたオーラは隠しようもない。


「お加減はいかがですか?」

気づかわし気に言われ、苦笑する。

「お蔭様で大丈夫です。‪昨晩‬はとんだご迷惑をおかけしました」

「気にしなくていい、そんなことより私たちはもう少しゆっくり話をする時間をとるべきだと思いましてね」

そう言うと彼は、手で合図をして、人払いをすると、対面のソファに腰を落ち着けて、こちらに向き直る。



「私はあなたに謝らねばならない。そして許されるならあなたと良い関係を築いていきたいと思っている」
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