訳アリなの、ごめんなさい
あれだけ大きな発作だったにもかかわらず、ぐっすりと休んだせいか、回復にはそれほど時間は掛からなかった。
それでも、慌てて身だしなみを整えると、妃殿下の部屋へ早足で向かった。
「遅くなりまして申し訳ありません」
入室して頭を下げると、舞踏会の準備を整えてお茶を飲んでいた妃殿下は
「あら良いのよ!気にしないで」
と笑った。
促されて彼女の対面に座ると、ユーリーンがお茶を出してくれた。
「殿下とは?」
「えぇお話ししたわ」
「あの、大丈夫、でしたか?」
つい心配になって食い気味に聞いてしまうと、彼女はきょとんとして、そしておかしそうに笑った。
「ずいぶんシュンとされて、謝られたわ。あの方に悪気がなかったことも不運な偶然が重なったことも理解できたわ」
「そう、、ですか。」
ホッとして肩の力が抜けた。とりあえず、おバカな事を言わなかった殿下にホッとした。
「でも、だからと言ってすぐ気持ちが変えられるかというとそれは無理です。
ですが、努力いたしますと伝えたら、あなたに努力させないように、私が努力いたしますとおっしゃるのよ?」
そこまで言って彼女はクスクスと笑った。
「本当に少年のような方ね。
とりあえずは、近しいお友達からということで、立場上、閨はしばらくともにするでしょうが、無理はせず、互いを知るために語ろうという事になったの」
「そうですか」
殿下やれば出来るじゃないですか!!と胸の内で感激しつつ、やはりああの人も賢い人なのだと再認識する。
紅茶を一口飲んだ妃殿下が目を伏せる。
「お優しい方ね、小国の王女など、お好きなようにしたらいいのに。
昨夜のような粗相、咎められてもいいのに」
勘違いとは言え最初の頃の自身の思い込みを恥じているのだろうか。
「それが、わが国の国民に愛される王太子殿下です。愛されすぎて、人の愛を自らの努力で手にすることを知らないくらいです」
そう冗談めかして笑うと。
「えぇ、言っておられたわ」
と妃殿下がおかしそうに声を上げた。
自ら言ったのか、、、。
やはり、殿下には少し謙虚になるよう進言した方がいいのでは、と考えていると軽いノックの音がしてユーリーンが対応した。
「殿下がお迎えにあがりました」
「時間ね!行きましょうか!」
妃殿下が優雅な動作でゆっくり立ち上がるので、その後ろに着いた。
扉の外に立っていた殿下は、妃殿下の姿を認めると、あぁっと感嘆の声を上げる。
「やはりそのドレスもよく似合っている。あなたの国のドレスのデザインを入れてみたのだけど」
「とても素敵ですわ殿下。ありがとうございます。」
妃殿下もにこやかに答えて、その場は昨日までにない和やかな雰囲気になった。
殿下のエスコートで出ていく妃殿下の後ろについて部屋を出ると、前室の外に騎士の正装姿のブラッドがいた。
咄嗟に、先ほどのことを思い出して、慌てて目を伏せる。
顔が、赤くなるのを感じた。
ここまで王太子夫妻の事を考えて、努めて忘れようとしていたが、やはり忘れられそうもない。
あんな、強引で、激しい口づけを、、、。
もちろん呼吸を止めさせることが目的なのはわかっている。他意はないことはわかっているのだが、、、。
それでも14歳のころ勢いで交わしたあの幼い口づけしか知らない自分にとっては、ずいぶんと刺激が強くて。
あれが同じ彼からの口づけとは思えない。
4年の年月と彼が大人の男になっていることをまざまざと見せつけられた気がしたのだ。
それでも、慌てて身だしなみを整えると、妃殿下の部屋へ早足で向かった。
「遅くなりまして申し訳ありません」
入室して頭を下げると、舞踏会の準備を整えてお茶を飲んでいた妃殿下は
「あら良いのよ!気にしないで」
と笑った。
促されて彼女の対面に座ると、ユーリーンがお茶を出してくれた。
「殿下とは?」
「えぇお話ししたわ」
「あの、大丈夫、でしたか?」
つい心配になって食い気味に聞いてしまうと、彼女はきょとんとして、そしておかしそうに笑った。
「ずいぶんシュンとされて、謝られたわ。あの方に悪気がなかったことも不運な偶然が重なったことも理解できたわ」
「そう、、ですか。」
ホッとして肩の力が抜けた。とりあえず、おバカな事を言わなかった殿下にホッとした。
「でも、だからと言ってすぐ気持ちが変えられるかというとそれは無理です。
ですが、努力いたしますと伝えたら、あなたに努力させないように、私が努力いたしますとおっしゃるのよ?」
そこまで言って彼女はクスクスと笑った。
「本当に少年のような方ね。
とりあえずは、近しいお友達からということで、立場上、閨はしばらくともにするでしょうが、無理はせず、互いを知るために語ろうという事になったの」
「そうですか」
殿下やれば出来るじゃないですか!!と胸の内で感激しつつ、やはりああの人も賢い人なのだと再認識する。
紅茶を一口飲んだ妃殿下が目を伏せる。
「お優しい方ね、小国の王女など、お好きなようにしたらいいのに。
昨夜のような粗相、咎められてもいいのに」
勘違いとは言え最初の頃の自身の思い込みを恥じているのだろうか。
「それが、わが国の国民に愛される王太子殿下です。愛されすぎて、人の愛を自らの努力で手にすることを知らないくらいです」
そう冗談めかして笑うと。
「えぇ、言っておられたわ」
と妃殿下がおかしそうに声を上げた。
自ら言ったのか、、、。
やはり、殿下には少し謙虚になるよう進言した方がいいのでは、と考えていると軽いノックの音がしてユーリーンが対応した。
「殿下がお迎えにあがりました」
「時間ね!行きましょうか!」
妃殿下が優雅な動作でゆっくり立ち上がるので、その後ろに着いた。
扉の外に立っていた殿下は、妃殿下の姿を認めると、あぁっと感嘆の声を上げる。
「やはりそのドレスもよく似合っている。あなたの国のドレスのデザインを入れてみたのだけど」
「とても素敵ですわ殿下。ありがとうございます。」
妃殿下もにこやかに答えて、その場は昨日までにない和やかな雰囲気になった。
殿下のエスコートで出ていく妃殿下の後ろについて部屋を出ると、前室の外に騎士の正装姿のブラッドがいた。
咄嗟に、先ほどのことを思い出して、慌てて目を伏せる。
顔が、赤くなるのを感じた。
ここまで王太子夫妻の事を考えて、努めて忘れようとしていたが、やはり忘れられそうもない。
あんな、強引で、激しい口づけを、、、。
もちろん呼吸を止めさせることが目的なのはわかっている。他意はないことはわかっているのだが、、、。
それでも14歳のころ勢いで交わしたあの幼い口づけしか知らない自分にとっては、ずいぶんと刺激が強くて。
あれが同じ彼からの口づけとは思えない。
4年の年月と彼が大人の男になっていることをまざまざと見せつけられた気がしたのだ。