訳アリなの、ごめんなさい
叔母が訪ねてきてくれたのは翌日の午前の事だった。
妃殿下は、殿下と共に各国からきた賓客達とティーパーティーに出席しているため、束の間の休息時間であった。

「上手くやっているようで良かったわ」

ブラッドの計らいのおかげか、スムーズに案内されてきた彼女は姪の顔を見ると、嬉しそうに微笑んだ。

「まだ数日ですが、でもなんとかやっていけそうです。そうそう、叔母様が教えてくださった。お茶、妃殿下も気に入っていただけたの」

「まぁそれは良かったわ」

久しぶりに気楽に茶を飲める事が嬉しくて、時間を忘れて叔母と色々なことを話した。


「あなたが元気になって本当に良かったこと」
しみじみと叔母にいわれて、心から笑みが溢れた。

「お仕事の後押しをして下さった、おじさまに感謝しています」

「貴方を追い出すようにしてしまった事をあの人なりに負い目に感じていたから安心するわ。きっと」

安心したように笑う彼女に首をひねる。


「今日はご一緒ではなかったのね?」

いつも2人で出かける事が多いことを知っているので、今日叔母が単独で来た事が意外だった。

「ちょっと忙しいみたい。それより変わったことはなくて?」

叔母の質問にふと、昨日の事を思い出す。

今兄のことを話したら、叔母はきっとひどく心配するに決まっている。

「特になにも!順調よ」

努めて明るく返事をする。


「そう。良かったわ」
安心したように叔母は笑ってお茶を一口飲んだ。

「少し落ち着いたら、貴方のこの先も考えないとね」


「え?」

この先とはなんだろうか?訳が分からなくて叔母をみれば、彼女は当然のように

「あら結婚よ。独身でいるつもり?」

と言った。

けっこん、、、。

私には縁遠く、叶わないもののはずだ

「私その、結婚は、、、」

無理だろうと曖昧に微笑む。

しかし叔母は首を振って、私の手を取る。

「貴方は何も悪い事をしていない。責められることなどないのよ?」


「でも、、、」

「幸せになりなさい!でなければ彼らの思う壺よ!」
< 47 / 116 >

この作品をシェア

pagetop