訳アリなの、ごめんなさい
もっと小まめに顔を出せ、次はアリシアを連れてこいと、母に最後までうるさく言われ、なんとか振り切って帰路についた。
王太子宮が目前に見えた頃、遠目に門から一台の馬車が出てくるのが見える。
紋章をみれば、ノードルフ侯爵家のものである事が見て取れた。
アリシアの叔母だろうか。今日は舞踏会だから王都にきているのだろう。そう思っていると。
その馬車は唐突に自分の前に来て、止まった。
「もし?あなたストラッド卿御子息のブラッドでなくて?」
不思議に思って見上げれば、馬車の小窓が開き、アリシアと同じ蜂蜜色の髪の貴婦人がこちらを見下ろしていた。
見覚えがある、、記憶の中の彼女はもう少し若かったが、間違いなくアリシアの叔母エルダである。
「左様でございます。お久しぶりでございますマダム」
一礼すると、彼女はアリシアとどこか似た顔立ちに笑みを浮かべた。
「本当にお久しぶりね。立派な成年になって!そういえば貴方、殿下の騎士でいらしたのよね。じゃあアリシアとは」
「はい、一緒に仕事をさせていただいております」
「まぁ、そうなの!なんて巡り合わせなのかしら!」
「彼女には会えましたか?」
「えぇ、元気そうで安心したわ~。でも貴方が側に居ると知って、もっと安心したわ~」
含むような言い方に、苦笑する。
「いえ、私などは、、、」
「あら、そんな事ないわ~」
ガラガラと彼女の馬車を避けて、辻馬車がかけていく。
あまり引き止めておく事も憚られる。
「こんな所でお話もなんだわ!お時間はあって?」
「残念ながらマダム、午後から任務なので」
肩を竦めて苦笑する。
この人ならアリシアの発作や兄の事も知っているだろう。話を聞けるいい機会であったのだが、、、。
「まぁ残念!」
そうよね、舞踏会ですものねと、彼女は納得した。
「お休みはいつ?
その少し、、あの子のことで、貴方に目をかけていただきたいのだけど?」
ご迷惑ならいいのよ!私の勝手な思いつきだから!と言って彼女は「どうかしら」と首を傾げた。
「アリシアのことで?」
「そうなの、ちょっと色々と、、、こんな所では話せないのだけど」
困ったように辺りを見渡して笑う夫人は、どこか少し不安そうだ。
あれ以外にも、何かアリシアに不都合な事が起こっているのではないか、、、そうであるならば、、、
「いつ頃までこちらにおいでですか?」
「あと3日ほどよ、少し伸びるかもしれないけど」
「わかりました。明日の夜は非番なのですがお宅にお伺いしても?」
そう言えば、みるからに夫人の顔が安堵の色に変わる。
「よろしくてよ!その方が夫もいますから。
そうだわ、御夕食も用意しておきますから、そのつもりで来て頂戴!」
どんどんと提案が出てくる。
訪ねるのはどうしても夕食時になってしまうだろう。遠慮するわけにもいかなかった。
「ありがとうございます」
素直に頷けば。
「お待ちしてるわね!では失礼」
彼女は10代の娘のように、ひらひらと手を振る。馬車が動き出した。
相変わらず若々しくて、可愛らしい方だ。
苦笑しながら、馬車を見送った。
王太子宮が目前に見えた頃、遠目に門から一台の馬車が出てくるのが見える。
紋章をみれば、ノードルフ侯爵家のものである事が見て取れた。
アリシアの叔母だろうか。今日は舞踏会だから王都にきているのだろう。そう思っていると。
その馬車は唐突に自分の前に来て、止まった。
「もし?あなたストラッド卿御子息のブラッドでなくて?」
不思議に思って見上げれば、馬車の小窓が開き、アリシアと同じ蜂蜜色の髪の貴婦人がこちらを見下ろしていた。
見覚えがある、、記憶の中の彼女はもう少し若かったが、間違いなくアリシアの叔母エルダである。
「左様でございます。お久しぶりでございますマダム」
一礼すると、彼女はアリシアとどこか似た顔立ちに笑みを浮かべた。
「本当にお久しぶりね。立派な成年になって!そういえば貴方、殿下の騎士でいらしたのよね。じゃあアリシアとは」
「はい、一緒に仕事をさせていただいております」
「まぁ、そうなの!なんて巡り合わせなのかしら!」
「彼女には会えましたか?」
「えぇ、元気そうで安心したわ~。でも貴方が側に居ると知って、もっと安心したわ~」
含むような言い方に、苦笑する。
「いえ、私などは、、、」
「あら、そんな事ないわ~」
ガラガラと彼女の馬車を避けて、辻馬車がかけていく。
あまり引き止めておく事も憚られる。
「こんな所でお話もなんだわ!お時間はあって?」
「残念ながらマダム、午後から任務なので」
肩を竦めて苦笑する。
この人ならアリシアの発作や兄の事も知っているだろう。話を聞けるいい機会であったのだが、、、。
「まぁ残念!」
そうよね、舞踏会ですものねと、彼女は納得した。
「お休みはいつ?
その少し、、あの子のことで、貴方に目をかけていただきたいのだけど?」
ご迷惑ならいいのよ!私の勝手な思いつきだから!と言って彼女は「どうかしら」と首を傾げた。
「アリシアのことで?」
「そうなの、ちょっと色々と、、、こんな所では話せないのだけど」
困ったように辺りを見渡して笑う夫人は、どこか少し不安そうだ。
あれ以外にも、何かアリシアに不都合な事が起こっているのではないか、、、そうであるならば、、、
「いつ頃までこちらにおいでですか?」
「あと3日ほどよ、少し伸びるかもしれないけど」
「わかりました。明日の夜は非番なのですがお宅にお伺いしても?」
そう言えば、みるからに夫人の顔が安堵の色に変わる。
「よろしくてよ!その方が夫もいますから。
そうだわ、御夕食も用意しておきますから、そのつもりで来て頂戴!」
どんどんと提案が出てくる。
訪ねるのはどうしても夕食時になってしまうだろう。遠慮するわけにもいかなかった。
「ありがとうございます」
素直に頷けば。
「お待ちしてるわね!では失礼」
彼女は10代の娘のように、ひらひらと手を振る。馬車が動き出した。
相変わらず若々しくて、可愛らしい方だ。
苦笑しながら、馬車を見送った。