ありがとうを、君に
「俺は基本土日休みだから!また会おう、今度は日中にね!」


おやすみ!とだけ言い放ち、恥ずかしさのあまりダッシュで帰った。

母親と喧嘩していたことなどすっかり忘れ、胡桃との出会いにウキウキしていた。


「おかえり、楓人どこにいってたの?私はあなたを心配して…」


「あぁもうその話はいいからっ!」


帰宅して早々に、母親はうるさかった。

22歳にもなれば自分の体調くらい管理できるんだから。

薬だってちゃんと欠かさず飲んでるじゃないか。

イライラしていると、俺の携帯が鳴った。


『楓人くん、さっきはありがとう
思う存分泣かせてくれたおかげで
少しだけ前を向く気になれました』


胡桃からのメッセージだった。

たった3行、されど3行。

俺は嬉しくなり、何度も何度も読み返した。

< 16 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop