ありがとうを、君に
歩き疲れて、たまたま近くにあった公園のベンチに腰掛ける。

幸い、夜なこともあり公園に人気は無し。

はぁ、泣いて少しスッキリしたけど目腫れてるんだろうなぁ。

家にこのまま帰ったら、お母さん心配しちゃうだろうなぁ。


「あれ?珍しく先約かあ」


いきなり背後から声がした。

振り返るとそこには、目のぱっちりした高身長のお兄さん。


「ご、ごめんなさい。もう帰るので」


謝って帰ろうとすると、お兄さんは私の肩に手を置きストン、と座らせた。


「まだ座ってなよ。オレも横座っていい?」


お兄さんはそう言うと、私の返答も待たず隣に座ってきた。


「「…………」」


気まずい沈黙が流れる。

こういう時に限って、携帯は家に忘れるし。

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