ありがとうを、君に
この世に警察という概念や犯罪という概念がなければ、私は玲香と結託して間違いなくあの浮気男を埋めに行っているだろうな。

想像しているだけでも、少し傷ついた心が報われていく気がした。


「はー玲香のせいで笑いすぎて、お腹すいちゃったよ。クッキー食べよ?」


「そうだぁ!そんな訳の分からない浮気男のことなんてこっちから願い下げしてやれ、胡桃は可愛いんだから!」


そういう玲香は、モデルのようなスラッと細長い手足に、小さな顔の持ち主。フワフワのボブが良く似合う。

玲香は、浮気なんてされたことないだろうなぁ。


「玲香はさ、浮気とかされたことある?」


「あるよ!」


玲香の意外な返答に驚いた。

玲香ほどの美しい彼女がいても、やはり浮気をする男はする一択なのだ。


「あの時は本当に病んで、この世の全てどうでもいいと思ったなぁ」


「…それって、いつ頃の話?」


「高2かな?ほら、私年上の社会人と付き合ってたじゃん?」


そうだ、玲香は高校時代に半年間だけ、4つ上の社会人の男性と付き合っていた時期がある。
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