ありがとうを、君に
「え!あの人かぁ、どうして別れた時に教えてくれなかったの!?一緒に埋めるの手伝ったのに!」


「いや埋めてないわ!あはは、ウケる胡桃。あの時はねぇ、浮気されたなんて私のプライドが許せなくて、親にも誰にも言ってなかったの。だってそうでしょう?私、高校で結構モテてる方だったのにさー」


「玲香から振ったの?」


「もちろんだよ!めちゃくちゃ謝られて引き止められたけど、ビンタしといた」


そう言って笑い飛ばす玲香は、完全に吹っ切れていたようだった。

私も、ここまで吹っ切れることがいつかはできるのだろうか。


「まぁ胡桃もさ、昨日の今日でまだ気持ちの整理つかないだろうけど、徐々にでいいんだよ。泣きたい時は私の胸貸すし!」


あれ…?どこかで聞いたような台詞だな。

私の頭の中を、楓人くんがよぎった。

楓人くんのことも話そう、と口を開きかけたとき。


「あっ、ねぇ胡桃!私、最近気になる人ができたんだよね、写真見せてあげる!」


タイミングが悪く、言いそびれてしまった。

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