ありがとうを、君に
私の姿を見つけると、タタッと駆け寄ってくる楓人くん。


「ごめんね、今朝急に誘って!迷惑じゃなかった?」


「全然大丈夫!イタリアンのお店予約してくれてありがとう」


「よーし!死ぬほど美味しいイタリアンを胡桃に食べてもらうぞー!俺が作るわけじゃないけど!」


ははは、と笑う楓人くんは、大人っぽい見た目のくせに中身は少年のようだった。


「胡桃の傷は、俺が癒す!!」


冗談交じりに言い放たれたその台詞も、私にとっては嬉しかった。


「あはは、楓人くんのその使命感はどこから来てるの?」


そんな会話をしているうちに、お店の前に着いた。

看板には、イタリアン・ナポレアーヌと大きく書いてある。


「来たことある?ここ」


「ううん、初めて入るの!楽しみ」


チリンチリン…

ドアを開けると、洒落た内装の本格イタリアンなオーラがお店から出ていた。


「す、すごい。ちょっと緊張するなぁ」

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