ありがとうを、君に
私も手を振り返し、ありがとうと伝えた。


「帰ったら、メッセージ送る!」


そう楓人くんが言うと、タクシーのドアが閉まり発進した。

タクシーが見えなくなるまで見送る。

振った手は、まだ楓人くんの膝にしがみついたときの感覚が鮮明に残っていた。

ちゃんと男の人の足って感じだったなぁ、ゴツゴツしてて。

友達なはずなのにドキドキしていて、少しだけ男として意識してしまいそうだった。

はぁ、寒いし足痛いから家の中に入ろう。


「ただいまぁ」


「おかえり!玲香ちゃん元気だったかい?」


「うん、元気だったよ相変わらず」


お母さんと、何気ない会話をしていると。


ピコンッ


私の携帯が鳴った。

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