ありがとうを、君に
なんとか知ってる道まで辿り着くことができ、ホッとしていると。


「これ、俺の連絡先だからあげるね」


いつの間に用意していたのか、小さな付箋に書かれた番号だった。


「俺は基本土日休みだから!また会おう、今度は日中にね!」


楓人くんは、おやすみ!と爽やかに笑って走って帰って行った。

太陽みたいな温かい人だなあ、そう思いながら家に帰った。


「ただいまぁ」


時計を見ると22時。今からご飯食べたりお風呂入ったりするの面倒臭いなぁ。


「遅かったね胡桃。おかえり」


「あ、ただいまお母さん」


「何してたのこんな時間まで?珍しいね」


「いや〜色々あって…」


何それ?とお母さんは首を傾げたが、本当に色々あったのだから仕方がない。

元彼に振られ、泣きながら迷子になり、はじめましてのお兄さんと仲良くなり…。
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