ありがとうを、君に

『あー今ドキッとしちゃったでしょ！？』


｢うるさいなぁ、もうっ！からかわないでよね！｣


『ごめん、なんかついイジりたくなっちゃう』


｢まったくもう…｣


『けどさ、今日こんな無駄話の電話に付き合ってくれてありがとね！俺、元気出てきたわ！頑張れそうだ』


｢？？…うん、頑張って！｣


いきなり頑張るって何かと思ったけど、きっとお仕事のことだよね！

更に30分くらい話すと、楓人くんは疲れたからもう寝ると言ってきた。


｢おやすみ、お仕事頑張ってね｣


『うん！ありがとう、胡桃もね！おやすみ』


こんなに明るく話している楓人くんが、私に隠し事をしているなんて微塵も疑っていなかった。

そんな素振りも見せないほど、電話越しでの声は明るくハツラツとしていた。