ありがとうを、君に
今思えば、この時の電話も楓人くんは心のどこかで私に助けを求めていたのかもしれない。

頑張れそうだ、と言ったのが本当は仕事に対しての発言ではなかったこと。

今にも溢れそうな涙が零れ落ちないよう、必死に明るく振舞って見せていたこと。

そんな、楓人くんの心の中のいくつもの葛藤。

この時の私には、そんなこと知る由もなかった。
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