ありがとうを、君に
送信する指が震えた。

悲しかった。また少しだけ泣いた。

漫画とかでありがちな台詞で、もう浮気しないから!とか言われたらどうしよう。

一度失った信用は、そう簡単には取り戻せないのだ。

彼には、それをわかって欲しいと思う。

吹っ切れるのはまだ先の話だけれど、何とか前を向いて進んでいきたい。


クシャッ


ポケットから何かの音がして、ポケットに手を入れた。

楓人くんから貰った付箋だった。

そういえば、送って貰っておきながらお礼も言いそびれちゃったしなぁ。


『楓人くん、さっきはありがとう
思う存分泣かせてくれたおかげで
少しだけ前を向く気になりました』


送信…っと。
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