ありがとうを、君に

〜楓人 side〜

畜生、胡桃に会いたい。

声を聞いて会いたい気持ちを紛らわそうとしたつもりだったが、それは逆効果だった。

声も反応も可愛くてズルすぎだよ、胡桃。


「はぁ…」


無意識にも大きな溜め息が出るほど、俺は胡桃への気持ちが抑えきれなくなっていた。

なんだよ、告白してきた関西人って!

こんな時、自分が胡桃の彼氏だったらすぐにそんなやつ追い払ってやれるのに。

失恋したばかりの胡桃と、今のこんな俺じゃ到底そんな仲にはなれそうにないのが不甲斐ない。

早く…早く退院したい。

キツめの投薬で本来なら会話をするのも大変なはずだが、胡桃との電話は余裕でできた。

寧ろ、自分が病気で入院していることなど嘘かのように元気に話せた。

胡桃への恋パワーなのか、ただ単に俺が最強なだけなのか…?

なんにせよ、胡桃と電話で話せて嬉しかった。

胡桃に病気のことを隠していることはなんだか心苦しかったが、そうするより他ない。
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