ありがとうを、君に

〜楓人 side〜

母親と喧嘩して家を飛び出した。

いつものことだから、まぁいいんだけど。

喧嘩して家を飛び出した日は、決まって行く場所がある。

近所の公園のベンチだ。

ここはなかなか穴場で、特に夜は人気がないところが良い。

街灯も少なく、ベンチに横になって空の星を見ていると気持ちが安らぐんだ。


「ヒック…グスン」


ヒック…グスン…だと!?

誰かが近くで泣いている!

当たりをキョロキョロ見回してみると、俺の特等席である公園のベンチに女の子がいた。

背丈は155センチくらいかな?綺麗なサラサラのロングヘアに白い肌が、女の子をより儚げに見せていた。

どうしよう、声をかけるべきなのか。

泣いている女の子を素通りするほど、俺は冷たい人間ではない。

でもなんで声をかけよう…??

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