ふたつの愛し方
話の切りがいい所で、寝るよ、とベッドに横になれば、私も、と壁側に横になって覗き込むようにキスをされる。


いつもなら、それだけだが今日は……なかなか瞳を逸らしてくれない。

言いたいことはわかってるけれど、なんだよ?

もっとキスがしたい。


やっぱりな。

俺からは絶対にしない。


「もっとしたいなら、麻友からしてこいよ」


そう言うと、俺に跨がって唇を重ねたかと思うと、強引に唇を割られて舌を絡ませてくる。

あまりに必死に絡ませてくるなら……少しくらい応えてやるか。


麻友の背中に腕を回して、俺も麻友の舌を絡め取る。

時々、麻友から漏れる吐息。

美和となら、この吐息を聴くだけでもっとしたくなるが……

唇を離すと、潤んだ瞳で見つめられる。


「続きしたい?」


答えなんてわかってて敢えて訊くと、したい。

しないよ、と間髪入れずに吐き捨てる。

なんで?と問われて、、、


「今の俺は、好きでもない女とする気にはならない」


美和と約束したこともあるが、心を伴う女と身体を繋げる快感を知ってしまったら、俺は美和以外は抱けない。

あの時の英介は、よく出来たな、とある意味、尊敬するよ。


「……それなら……私だけでも俊也くんの手で気持ち良くさせて」


「だったら、全部脱いで」


達きすぎて、俺を求められないくらい疲れさせてやる。

美和じゃないと、勃ち上がる気もしないから。

素直に全部を脱いだ麻友の身体を、首筋から下へ唇を落として、胸を揉みながら先端をキツめに吸い上げると、既に潤っている麻友の中心に指を挿れる。


何度か中を掻き回すと、息を荒くして達したのがわかる。


「もっとイケるだろ?何回でもイケよ」


わざと、耳元に唇を寄せて囁いて、耳を甘噛みして、耳に舌を這わしながら、指を二本に増やして、激しく攻めると、

何回も何回も、俺の指を締め付けて、液体が溢れ出している。

段々と息は更に乱れて、喘ぎ声も掠れてきた所で、ぐったりした身体を抱き締めて、終わりだ、と耳元で囁く。


「……気持ち良かった……」


「よかったな」


抑揚のない声で答えたにも関わらず、大きく頷いた麻友に、おやすみ。

おやすみ、と頬にキスをされて背中を向けた。


麻友の寝息が聞こえてすぐに、洗面台で手を洗っていた。

今はもう、気持ち悪くて仕方ない液体と肌の感触を消すように、丁寧に。
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