ふたつの愛し方
《美和》


過呼吸にまでなるなんて……

私にとっての俊也の存在の大きさ、自分の弱さを知った。

約束を守って、俊也はちゃんと帰って来てくれたんだから、それだけで充分。

俊也なら、こんな私でも丸ごと受け入れてくれて。

寂しさも不安も、苦しささえも優しく包み込んでくれる。

本当に英介くんが言っていた、私が知ってる底無しの器を持ってるね。

最後の最後まで、立花さんも気遣って情をかけるんだから。

全ては私の為って言うけれど、一度は好きになりかけた、立花さんの為でもあったんじゃない?

わざわざ訊いたりしなくても、私にはわかる。

それが、私が愛してる俊也だから。



「ずっと……こんな私でもいい?」


「いいに決まってるだろ。こんな美和を愛してるんだよ。もっと甘えてくれてもいいくらい」


「我が儘になっちゃうよ?」


身体の全部を、俊也の身体に愛された後の腕の中で、素肌の足を絡ませて、更に強く抱き締めて、、いいよ。

ケラケラと笑う私に、、、

ずっと俺の傍で……そうやって笑っててくれるなら、どんな我が儘も訊くよ。


そんな言葉は、反則だよ。

なっちゃおうって言ってしまったじゃない。


「俊也……私の大好きなキスして……もう一回……抱いて」


胸に頬を擦り寄せると、可愛い、と囁かれて、上においで、と。

上に跨がると、背中に片腕を回して後頭部に手を添えて、引き寄せられて唇が重なって、次第に大好きなキスに変わっていく。

この、焦らすように変えられるのも好き。

堪らず私も同じキスをすると、額と額が自然と重なって微笑み合っていた。


それからはーー。

俊也に身体を弄ばれて、ひとつに繋げれば、何度も繋がったまま上下が逆転して…ー…

その度に舌を絡ませてキスをして、大好きなキスをして、絶頂をたくさん味わわせてくれた。


この出来事は、俊也と私の絆が試されたのかもしれない。

私は過呼吸になるし、実は少し痩せたけど……今は戻りつつあるし、結果オーライ。


英介くん、朱希。

帰って来たら聞いてね?

惚気話になっちゃうけど。
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