ふたつの愛し方
英介と話し合ってから1年後ーーー。

養子縁組制度に申し込み、審査をクリアして半年間、私は休職して……ー、

半年後に、5歳の元気な女の子=心春(こはる)と養子縁組をした。


驚くくらい英介は、心春を溺愛していて、優しい頼れるパパになっていた。

そんな英介に心春もすっかり懐いて、小学校に上がった年の作文。


“私の将来の夢は、ママのような看護師さんになって、パパのような素敵なお医者さんと結婚して、パパの病院を守ることです”


なんて書いていて、参観日に来てくれた英介は照れくさそうに笑っていた。



心春が6歳になったのを期に、英介のお父さんとお母さんは、お父さんが所有していた別荘に引っ越して、英介の実家へ。

広すぎる豪邸を、一般的な平屋の家に建て替えて庭を広く取ったのは、心春の希望。


その庭のベンチで、擽り合い戯れている私たちの所へ、今日も元気に心春が帰って来る。


「また、パパとママがイチャイチャしてる!!」


英介と瞳を合わせて笑いながら、仲良しだからな、と抱き上げた英介は膝の上に乗せる。

背負ったままのランドセルを外してあげると、英介にギュッと抱き付く心春の頭を、おかえり、と撫でるのは、英介が心春が帰って来る時間帯に居る時の、当たり前の光景。


「じゃあ……ママも」


そう言って英介の肩に頭を乗せるとー…ー私の肩を引き寄せて、心春ごと抱き締めてくれる。

私も心春も、この腕に守られてる。
< 129 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop