ふたつの愛し方
今でも、英介の眉目秀麗な顔はそのままで、歳を取るごとに色気は増して、たまに見つめられるだけで、クラクラする。


「朱希……愛してる」


心春が寝た後の二人の時間、ベッドの中で優しい茶色の瞳に、私を映して言われる度に……ほら、また軽い眩暈がしているのに……する?

低い甘い声で囁かれたら……したい。


ベッドで求め合い、抱き合ったら……もう止まらない。


「……ンッ……!!ーーーアッ……!」


なんて声が静かなベッドルームに響き、英介の口の中で噛み殺した吐息。


「……はぁ……朱希……もっと……」


時折、そう囁く吐息交じりの英介の艶っぽい声。

流れる汗がお互いの身体を湿らせて、その汗さえも心地好く溶け合い、快感に変わる。


もう限界だ……と呟いた英介に……一番奥に、と応えて、腰を引いた英介の腰を掴んで引き寄せるとーー…

奥深くに英介の熱い液体を打ち付けるように放たれる。


だけど、まだ疼いて……もっと……と求める私の身体を英介は、満足するまで応えて快感と絶頂に導いてくれる。


「一回じゃ……終わらないな……相変わらず……」


「だって……気持ち良すぎる……」


「俺も……身体も心も……朱希に溺れてる……変わらず……ずっとだ……」


ぐったりと身体がベッドに倒れ込む直前の、この夜の甘い熱い戯れに、英介はそう言って、いつもよりも強く私を抱き締めてーー…、


人はいつか灰になる。

だからこそ毎日、朱希が愛おしくて……触れたくて……息も出来ない時がある。

気が狂うくらい……愛してる。


荒い息を整えながら、優しくて低い甘い声で紡がれた言葉。


私は……この命を最後の一滴まで使い切って愛し抜く。


最高だ……その言葉、と笑った英介と戯れながらキスを交わして……深い眠りに落ちていた。
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