ふたつの愛し方
腕と膝の擦り傷が治った頃ーーー。



「朱希……抱いていい?」


答えなんて……決まってる。

小さく頷くと、深く口づけられて舌を吸い上げられて、

余裕の欠片もないくらいに私の身体を弄んで、サイドテーブルの引き出しを開けて、アレに手を伸ばそうとする。


「もう……処方してもらって呑んでるから……いらないよ」


蕩けて疼いて早く欲しくて、英介の腕を掴んで唇を寄せると、唇にキスをくれて。


「壊される覚悟はできた?」


いつにも増して妖艶な瞳に捕らわれる。

出来てる。

捕らわれたまま答えると、中心を一気に貫かれただけで軽く達してしまう。


アレの薄い刺激がないだけで、攻め立てられる度に今までにない快感に、中からは蜜が溢れて何度も痙攣を繰り返す。


気が付けば、英介の背中に爪を立てていて、自ら舌を絡ませてキスをしていた。


「……っ……朱希……煽るな……」


「……だって……全然……ちがう……」


「…………俺も……っ………離したく……ない……」


英介の艶やかな吐息交じりの声が、さらに私を昂らせる。

唾液の混ざり合う水音、繋がった所から絡み合う水音が静かな部屋に響いて……喘ぎ声が止まらない。


相性がいいだけあって、邪魔するものがないと、こんなにこんなに気持ちいいなんて………

この先もずっと………英介がいい。

英介じゃないとダメだよ。



「誰のものにもならないで……私だけの英介でいて…」


「……朱希……だけのものだ……」


掠れた声で言ってしまった想いを受け入れてくれた、英介にしがみつく。

奥に欲しい、と。


英介の熱い液体が、私の中に流し込まれた瞬間のこれまでより一番強い快感に……

もっと………もっと、と幾度もキスをして、また戯れて何度も繋がって。

ベッドに疲れ果てて、身体を投げ出して、

お互いに自然と、隙間なく抱き締め合って眠っていた。

< 35 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop