ふたつの愛し方
「ああっ……!んっ、はあっ……!」


母が退院してから数日後に、私の身体を隅々まで知り尽くした英介のベッドで抱かれていて。

舌先が突起を弾き、私の腰を押さえつけて指で執拗に攻められて、溢れるものが卑猥な音を奏でる。

その音が、私を昂らせて全身が跳ね上がる。

荒い息を繰り返す私の中に、英介の硬く熱いモノがゆっくりと侵入してくる。


「あッーー、アアッ、ンンッーー!!」


相変わらず、薄い邪魔なものがないだけで弾けるような快感が、薄い邪魔なものがあった時よりも全身を駆け巡り、びくびくと下半身が大きく痙攣してしまう。

英介もくぐもった声を口の中で噛み殺して、私の腰に当てた手に、強く力を入れた瞬間……ーー…

英介が私の中で大きく震えて、熱い液体が私の奥に打ちつけられる。

その感触が、下腹部を跳ね上げて一気に絶頂まで連れて行かれた。


ぐったりとする私の身体に、英介も身体を預けたかと思うと労るように、起こしてくれて強く抱き締めてくれる。

私も英介の背中に腕を回すと、裸の身体が隙間なく密着して。

ただ、それだけで気持ちがいい。

まだ繋がったまま、快感を味わっていると、何も考えられなくなる。

何度も私の中は収縮を繰り返して、離すまいと強い力で英介を咥え込んでいる。


「……朱希……落ち着いたら……もう一回……」


私の肩に顎を乗せて耳元で囁かれた、普段の英介の低くて甘い声だけで、私の中からドロッと熱い液体が溢れ出して、また英介のモノに絡み付く。


その夜は、朝方まで身体をお互いに弄んで、繋がって。

また隙間なく、抱き締め合って眠っていた。


こんな幸せな時間。

仕事をしている時の慌ただしいけれど、穏やかな日々。

ずっと続けばいい。

続かないのなら、英介と抱き合った後に、隙間なく抱き締め合って、眠り続けたい。


もしも、英介と身体を繋げなければ……こんな感情を味わうことは一生なかったかもしれない。


神様が本当に存在するのであれば。

どうか、私から何も奪わないで。

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