ふたつの愛し方
私の………考えは?


「俊也の気持ちはわかる、それが俊也だから。だけど……条件をクリアしてるなら切らなきゃ余計に拡がるよ?」


「そうだよな……もう一度、検査して切るか……朱希、ありがとう」


頭を撫でた俊也を上目遣いに見て、首を横に振る。


執刀医は俺。

第一助手に俊也。


「器械出しは朱希だ!」


私?と間抜けな声で、英介に訊ねると。

お前なら、こんな症例はたくさん見てきただろ。


「それに俺のスピードに着いてこれる、器械出しのオペ看は朱希しかいない」


「たしかにな。ボストンから帰って来て、英介の技術とスピードが上がったからな。今の器械出しの子も優秀だが、物足りないみたいだ」


そこまで言われたら………期待に応える。

わかったよ。


英介を見上げると、満足気に微笑んだ。


そして、この夜は3人でご飯を食べに行って。

3人で同じ方向へ帰る。

日本に帰る時に、住む場所探しをゆっくり出来ない私に代わって、二人がしてくれたんだけど。

病院から徒歩圏内の2棟並んだマンション、左側の6階に俊也、右側の10階に英介が住んでいて、英介と同じ棟の8階に私の住まいが用意された。


俺達の側が安全だろ、と俊也。

何かあってもすぐに行ける距離だな、と英介。


そうだけど………昔から変わらず、2人は私に過保護だ。

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