ふたつの愛し方
Episode:11
《英介》
医局で事務作業している所へーーー。
「お疲れ様。あのね……英介さんの家でご飯を作ってあげたり、身の回りの世話をしたいんだけど……いいかしら?」
華世が、寄り添うように隣の椅子に座って面倒な事を言い出した。
俺の部屋には、朱希の物が今でも置いてあって、朱希が勝手に増やした朱希しか使っていない調理器具もある。
それを、華世に触らせたくない。
少しでも気のある振りをしなければいけない手前、一緒に寝なければ怪しまれるが……
朱希を幾度となく抱いたベッドで、寝たくない。
二人で部屋に帰れば、朱希と遭遇する可能性もある。
辛い想いはさせたくない。
だったら、俺が華世の家に行くよ。
「それでも構わないわ。英介さんの世話をしてあげれるなら」
「……今日は、華世も日勤だろ?行ってもいいか?」
「もちろんよ。嬉しいわ!」
腕に寄り添う華世が鬱陶しい。
ーーー。
華世の作ってくれた飯は不味くはないけれど、俊也と朱希が作ってくれる、食べ馴れた味の方が断然、旨い。
美味しい?と訊かれて、仕方なく頷く。
俊也と朱希の飯が食いたい。
暫く、食ってないな……
「今日は泊まってくれる?」
「……夜勤だから泊まるつもりだよ。ロッカーから下着とかも持ってきたから」
嬉しいわ、と肩に凭れかかってきて、鼻を掠めた匂いは、俺の苦手な甘い匂い。
吐き気がしそうだが……耐えるしかない。
シャワーを借りたけれど、シャンプーもボディーソープも予想通り……甘い香り。
ロッカールームに入っていた自分の物を使った。
同じベッドに寝転がると、しがみつくようにくっついてきて……ーー…
「……キスして?」
朱希以外としたくない。
こうして触れられるだけで突き放したくなるってのに。
仕方ないのはわかっている。
だけど……早かれ遅かれ言われるだろう。
誘われるだろう。
医局で事務作業している所へーーー。
「お疲れ様。あのね……英介さんの家でご飯を作ってあげたり、身の回りの世話をしたいんだけど……いいかしら?」
華世が、寄り添うように隣の椅子に座って面倒な事を言い出した。
俺の部屋には、朱希の物が今でも置いてあって、朱希が勝手に増やした朱希しか使っていない調理器具もある。
それを、華世に触らせたくない。
少しでも気のある振りをしなければいけない手前、一緒に寝なければ怪しまれるが……
朱希を幾度となく抱いたベッドで、寝たくない。
二人で部屋に帰れば、朱希と遭遇する可能性もある。
辛い想いはさせたくない。
だったら、俺が華世の家に行くよ。
「それでも構わないわ。英介さんの世話をしてあげれるなら」
「……今日は、華世も日勤だろ?行ってもいいか?」
「もちろんよ。嬉しいわ!」
腕に寄り添う華世が鬱陶しい。
ーーー。
華世の作ってくれた飯は不味くはないけれど、俊也と朱希が作ってくれる、食べ馴れた味の方が断然、旨い。
美味しい?と訊かれて、仕方なく頷く。
俊也と朱希の飯が食いたい。
暫く、食ってないな……
「今日は泊まってくれる?」
「……夜勤だから泊まるつもりだよ。ロッカーから下着とかも持ってきたから」
嬉しいわ、と肩に凭れかかってきて、鼻を掠めた匂いは、俺の苦手な甘い匂い。
吐き気がしそうだが……耐えるしかない。
シャワーを借りたけれど、シャンプーもボディーソープも予想通り……甘い香り。
ロッカールームに入っていた自分の物を使った。
同じベッドに寝転がると、しがみつくようにくっついてきて……ーー…
「……キスして?」
朱希以外としたくない。
こうして触れられるだけで突き放したくなるってのに。
仕方ないのはわかっている。
だけど……早かれ遅かれ言われるだろう。
誘われるだろう。