ふたつの愛し方
「華世を何回か……抱いた……ごめん……」


そうかぁ……何となく、そういうことも仕方ないと覚悟は決めてたから。

裏切られたとか責める気持ちにはならなかった。

ずっと、築き上げてきた英介との繋がりは、それだけで崩れたりしない。

想い続けてきた気持ちも失くならないなら………


「満足できた?気持ちよかった?」


「……全く」


それならいいんだよ。

だって、英介が私を抱いてる時の表情も吐息も言葉も、偽りがないって信じていたから。


「私じゃないとダメな身体に、私がしたんだもん。当たり前でしょ?」


「……そうだな……心だけは渡さないから、もう少し待っててくれるか?」


「うん!待ってる!」


てっきり見捨てられるって思ってた……約束を破ったから……だけど、と。


「朱希は許してくれた。お前は……本当にいい女だよ。どれだけ、俺を好きなんだよ?こんなに俺を愛してくれる女は、後にも先にも朱希だけだな……」


私の横に頬杖をついて寝転がって、頭を撫で、しっかりと瞳を見据えて、やっぱり嬉しい幸せな言葉をくれた。

でもね、きちんと伝えないとね。


「気が狂うくらい好きだけど…見捨てないのは、好きだからでも許したからでもないよ。許してあげない。迎えに来てくれたら、一生かけて償って?」


それとね、綺麗に全部を片付くまでは……おあずけだからね!


頬杖を解くと、ベッドに組み敷いて…ー…


「償うよ。おあずけが長引かないように……早めに片付けて迎えに行く。今日は満足するまで…………抱かせてくれ?」


「いいよ。明日は休みだから……身体なんてどうなってもいい。英介は?」


「俺も休み。どうなってもいい。アイツは日勤だから怪しまれない」


小さく頷くと、朱希、と唇が塞がれる。
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