ふたつの愛し方
何度も何度も重なっては…ー…離れて、舌の奥まで絡ませて、唾液が混じり合う音が耳に届くだけで。

英介でしか満足出来ないくらい、溺れた私の身体からは蜜が溶け出す。

もうこれだけで、英介を受け入れるには充分なくらいに。


だけど………今日はまだまだ英介の肌を堪能して、爪の先まで愛されてから受け入れたい。


英介の身体に私をたくさん刻み込んで、覚え込ませてあげる。


激しくも優しいキスをされながら、英介の身体の線をなぞるように、撫で上げる。

直に触れる肌も、指先に伝わる感触も欲を掻き立てる。


英介は上だけ脱いでるくせに、私は身に纏っている全てを剥ぎ取られて。

英介の唇が、頭から足の爪の先まで余すとこなく落とされてー……

舌先で余すとこなく舐められて、足の指も一本ずつ口に含まれる。


数え切れない程、英介に抱かれてきたけれど……こんな風に全身を愛されたのは……はじめてで、こんなゾワゾワする感覚は味わったことがない。

自然と口から溢れる、今まで聴いたことのない自分の淫らな声が恥ずかしくなって、手で口を塞いでいた。


「朱希……恥ずかしいの?」


小さく頷くと、恥ずかしくない。

もっと聴かせて、俺にしか出させられない声だろ?


そんな甘い声で言われたら……今までにない羞恥心も崩れ去り、はじめての感覚を堪能したくなる。


私だって英介に同じ感覚を味わって欲しくて、はじめて英介の身体を余すことなく愛していく。

こんなに艶っぽい英介の吐息を聴いたのも、はじめて。

私にしか出せない、聴くことのない吐息。


空が茜色に染まる頃ーーー。

お互いに満足して身体ごと包み込むように、抱き締め合って眠っていた。
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