ふたつの愛し方
《美和》


ベッドに優しく降ろされると、海で交わしたキスなんて比べられないくらいの、全身が蕩けるようなキスをされる。


こんなキスされたことない。

いや、違う。

きっと、してたんだよ。

俊也とのキスは、キスだけで全てが完成されたように満たされるんだね。


それに、今まで私は心から好きだって言える人としたことがない。

何となく好きで、甘い雰囲気になって身体を繋げて満たされて、蜜の味をわかってからは欲の捌け口でしかなかった。

気持ち良くなくても、気持ちイイって声を出して、機械的に次はと悦ばせて。

だけど、俊也とは明らかに違う。

もうどうしていいかわからずに、力一杯、俊也を抱き締めていた。


「……美和……そんなに抱き付かれたら何も出来ない」


優しく頭を撫でられて、瞳を合わすと苦笑いをされて、どうした?

やっぱり止めるか?


止めてほしくなんかない!

俊也がほしい。


「私ね……今までちゃんと心を伴う人に抱かれたことなくて……だから怖くて……変になりそうで」


「バカだな……本当に好きでもない男に、大事な身体をやるなよ。俺のことは本当に好きだから、怖いんだろ?」


コクリと小さく頷くと、自然と力が抜けて、瞳からは生温い滴が溢れて散っていた。

ずっと優しく頭を撫でてくれる温かい手も、滴を溢れさせてくれる。


「これから先はずっと俺だけにしか抱かれるな?俺も美和しか抱かないから」


「……うん……俊也にしか抱かれたくない……俊也も私しか抱かないって約束してくれる?」


「約束するよ。美和は何もしなくていい……変になっても構わないから、俺に全て委ねて」


大きく頷くと、唇で涙を拭ってくれて。

さっきのキスをもう一回されて、バスタオルを解かれて、暴かれた素肌に俊也の唇が落とされて、舌が這う。

胸を揉まれ、先端を口に含まれて吸われる度に、舌先で転がされるだけで、摘ままれる度に甘美な声が漏れる。

これは、もう演技ではなく抑えようとしても、抑え切れない。

腰とお尻を撫でる手も、物凄く優しい。
< 76 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop