ふたつの愛し方
Episode:14
英介と住み始めて1ヶ月ー…ー。


「朝起きて……真っ先に朱希の顔が見れるって……幸せだな」


久しぶりに重なった休みの朝に、英介に耳元で囁かれて、額に柔らかな唇が触れた。


「明日も、明後日も、その先もずっと……な」


「……私も見たい」


目先の首筋にキスをすると、背中をスーっと撫でられる。

朱希、と。


「今日はどうする?」


「そうだね……映画は観に行けないから、借りて来て観たい」


「この前、借りられてたって言ってた映画?」


うん、と頷くと。

俺もそれは観たかったし借りに行くか?


「俺は、久しぶりに朱希の親子丼が食べたい!」


瞳をキラキラさせて言うんだから、可愛いと思ってしまう。

時折、見せられるこういう少年みたいな所は、普段とは違うギャップでクラクラするんだよね。


「いいよ。ついでに買い物しよう」


ーーーーー。

ソファーの下に座って、借りてきた映画を見ながら、、、

親子丼と、英介が買い物先で食べたいと言ったお蕎麦を食べているのは……

医者と看護師の性みたいなもの。

一度に二つ出来ることはしないと、時間が勿体ない。

そう思ってしまうから。


食べ終わって、一時停止にして。

一緒に食器を洗うのも、二人の方が早く終わるから。

1分1秒でも長く、二人で過ごす時間は無駄にしたくない。

それは、お互いに。


洗い終わってから、ソファーに腰掛けて、ぴったりと密着して続きを再生してー…ー。

いよいよ、ここから盛り上がってラストを迎えるタイミングで……緊急呼び出しコール。

それも、同時にっ!!


仕方なく、中断して。

英介はベッドルームで、私はリビングで対応する。

内容は同じようで、高速道路での玉突き事故。

緊急オペを要するかもしれない急患が1名。


鞄を持って、コートを羽織って部屋を飛び出して、エレベーターの中で扉が開くまで、僅かに濃厚なキスをくれて、、、
指を絡ませて握り、英介にその手を引かれて、病院まで駆け出していた。
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