ふたつの愛し方
ディズニーシーの1日目。

苦手だけど……一度は乗ってみたかったタワー・オブ・テラーへ。

最上階から落下する瞬間にーー…英介の手を力一杯、握っていて。

その汗ばむ手を英介はしっかりと握り返してくれていた。


「怖くなかった?」


「まぁ、多少な。俺はけっこう平気なんだよ。絶叫系は」


知らなかった………

小学生からの付き合いで25年以上で、知ったこと。

それもそうだよね。

英介と遊園地に行ったのは、中学校の修学旅行以来。

あの時は、同じグループになれなくて一緒に回っていないもんね。

テーマパークも思い返しても、一度もない。

高校は別々だったし、大学は勉強漬けで遊園地やテーマパークとは、縁遠かった。


「じゃあ、次はレイジングスピリッツ乗る?絶叫系は全部、今日のうちに乗りたい!」


「いいよ。俺は平気だけど、朱希は大丈夫か?」


レイジングスピリッツまで、手を繋いで歩きながら、楽しすぎて嬉しすぎて顔は緩みっぱなし。

英介も以外と楽しんでるみたいで。

ずっと手を繋いでくれていて、無邪気な少年のよう。


「朱希が乗りたいなら乗るか!怖かったら手を繋いでてやるから」


うん!と頷くと、行くぞ、と繋いだ手を引っ張ってくれる。


どんな時も、英介の手と低く甘く優しい声には魔法の力がある。

きっと、英介に恋をした中学生の時からずっと変わらず。

これからもずっと、私だけの魔法の力。



ホテルに戻っても今日の英介は、いつもの甘さよりも、さらに甘くて身体を繋げなくてもずっとー…離れずにくっついて、戯れていることが楽しい。


基本的に英介は、強引な俺様タイプで…ーサバサバしていて、無邪気な一面もある。


そんな英介に、久しぶり過ぎるくらい触れて…ー…楽しすぎて涙が流れていた。

それも大量に……



おいっ……!なんで泣いてんだよ?


なんか今日ね……こうやってお風呂でもベッドでもふざけ合ってるの……すっごく楽しくて……涙が勝手に出てきた……自分でもよくわからない……


楽しすぎて泣くとか、よくわかんねぇけど……俺もすっげぇ楽しいよ。


英介に涙を唇と指で掬われて、、、


抱き締め合って、キスしながら寝ようよ?

それ、いつもだろ?

そっかぁ、そうだね。
いつもみたいに、隙間なくギュッてしてね?

そのつもり。
朱希……キス。



艶っぽく囁かれて、唇を重ねて直ぐに離すと、英介も唇を重ねてくれてーー…重ねては離してを繰り返しながら、いつの間か夢の中に落ちていた。
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