ふたつの愛し方
2日目は、絶叫系以外のアトラクションを満喫して。

秋のハロウィンイベントも楽しんで、部屋に帰ると…ー、味噌汁飲みたい。

英介が唐突に言い出した。


「なんで……味噌汁?」


「洋食ばかりだったから」


そうだよね、確かに。

ずっと洋食の味の濃いものばかりだったね。

簡単に、冷凍してあった鶏そぼろご飯とワカメと豆腐のお味噌汁を出すと、ペロッと平らげてくれた。


やっぱり朱希の飯は旨い、と。

何を食べても、と。


こうやって言ってくれるから作り甲斐がある。


この日も、隙間なく抱き締め合って、好きなだけキスをして眠りについて…ー、

翌日はいつぶりかわからない、英介とショッピングに出掛けた。


「英介と同じ、時計が欲しい!」


ずっと思っていたんだよ。

英介と私の好みはよく似ていて、服の感じも揃えてるわけではないのに……リンクしてしまうことがある。


「それなら買ってやるよ」


「いいの?」


「当たり前だろ。普段の食費は出してくれてんだから」


なんか英介には買ってもらってばかりな気がする。

ディズニーシーでも、英介は全て出してくれて申し訳ないんだけど……英介は、出させてくれないんだよね。


だから、、英介は欲しいものないの?


「ブーツだな。今日、買おうと思ってた」


「私が買ってあげる!」


「いいよ。自分で買うから。朱希は選んでくれたらいい」


もう、またそうやって甘えてくれない。

普段の食費とはまた別なのに。

英介の方が出してくれている金額は、はるかに多いのに。

だけどね……英介のこういう所は頑固だから、わかったって言っておこう。


英介と同じ、日本の腕時計ブランドのペアのものを買ってもらって。

欲しいと言っていた、ブーツも一緒に選んで、お揃いのブランドのものを買ってくれて。

さすがに、コートだけは自分で買ったけれど。



いっぱい買ってくれてありがとう。

俺が買ってやりたいだけだから、気にすんな。甘えとけ。


夜ご飯の買い物もして、帰ってゆっくり映画を観ようと借りて帰って直ぐーー…一息つく暇もなく……


お互いのスマホが、キッチンカウンターの上で震える。

同時に瞳を合わせて、苦笑い。

表示された番号は病院だから。


英介はベッドルームへ。

私は、そのままキッチンで電話を受ける。
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