燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

 まったく、入籍やら、一緒に住むやら……。
 みんななんでそんなに急いでるんだろう。


 やっぱり子どものことだろうか。

 でも、私はまだ25だ。世間的にはまだまだ若い方だろう。
 天馬先生だって、33歳とはいえ、まだまだ若く見えるし。ちょうど医師としても忙しい時期だ。

 結局なんだかんだ言いながら、私はもう少し、今の生活を続けたい。
 私自身、もっと勉強して、やりたいこともある。


 はぁ、とまたため息が漏れる。

『できれば他に親が認めるような婚約者候補、出てこい。そして天馬先生にも院長になれる病院が他に現れてくれ』

と部屋から見える夜空に強く祈っていた。

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