燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

 その日の夜、帰ってきた天馬先生は

「今日、診察どうだった?」
と開口一番に言った。


「やっぱり3か月間のことは思い出せなくて。工藤先生もここまで来たら思い出さない可能性も高いって。……確かに、もう2か月たってるんですもんね」
「……そうか」

 そして私は唇を噛み、先生を見あげる。


「でも、それ以上に先生とこうやって暮らしてるのが嬉しいから。だからもういいと思って。忘れた3か月間以上のことを天馬先生と積み上げていきたい」


 ねぇ、先生は嫌?
 やっぱり思い出の3か月間を今も思い出してほしい?

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