燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
そう思っていると、そんなことに慣れている麗子先生は、
「あら、つばめちゃん。おはよう」
と笑った。
麗子先生はとってもきれいな内科の先生だ。
「おはようございます!」
あたしが笑うと、麗子先生も笑って、邪魔しちゃなんだから先に着替えてくるわね、と行ってしまう。
あたしは拓海に抱き着いたまま、
「ねーねー、もう終わった? ねぇ!」
とせっついた。拓海は、抱き着いていたあたしを下ろして、両腕を持って少し離すと、あたしの目を見る。
「つばめ……急患で出ることも多いから、起きて僕がいなくても、一人で待ってなさいって言ったでしょう」
「やだ!」
聞き分けのいい子なんて演じてやらない。だってどっちにしたって、拓海は急患の方が大事なんでしょう。
ならあたしは、自分の気持ちを言うのを我慢なんてしないんだから。