燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


 そう思っていると、そんなことに慣れている麗子先生は、

「あら、つばめちゃん。おはよう」

と笑った。
 麗子先生はとってもきれいな内科の先生だ。


「おはようございます!」

 あたしが笑うと、麗子先生も笑って、邪魔しちゃなんだから先に着替えてくるわね、と行ってしまう。
 あたしは拓海に抱き着いたまま、

「ねーねー、もう終わった? ねぇ!」

とせっついた。拓海は、抱き着いていたあたしを下ろして、両腕を持って少し離すと、あたしの目を見る。


「つばめ……急患で出ることも多いから、起きて僕がいなくても、一人で待ってなさいって言ったでしょう」
「やだ!」


 聞き分けのいい子なんて演じてやらない。だってどっちにしたって、拓海は急患の方が大事なんでしょう。
 ならあたしは、自分の気持ちを言うのを我慢なんてしないんだから。

< 139 / 350 >

この作品をシェア

pagetop