燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
次起きた時には、一体何時なのか全く分からなかった。私は周りを見渡す。
―――私、寝ちゃった……?
その時、ちょうど一条先生がやってきて、私の隣に座る。
「大丈夫そうね。よかった、車に轢かれて骨折もしてないなんて、すごい奇跡よ」
「やっぱり私轢かれたんだ……」
思い返してみても、やっぱり轢かれた。しっかり轢かれた。しかも完全に自分の不注意だ。
運転していた方に申し訳なくなる……。
そんなことを考えていると、一条先生はクスリと笑い、
「天馬先生、つばめちゃんの目が覚めるまで正気じゃなかったわよ」
と言った。「大丈夫だって言っても不安でウロウロしてるし、邪魔だから救急から追い出してやったわ」
天馬先生が? 私を心配? なんだか全くぴんと来ない。
でも、そう言われて、そういえば、と先ほどのことを思い出す。
呼び捨てにされて、抱きしめられたような……?
天馬先生でもおかしくなることがあると知って、笑ってしまった。