燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

 拓海は困ったように頭を掻いた。
 だけど、意を決したように、キっとあたしを見る。

「今日はまだダメ。まだ気になる患者さんいるし、少し様子見たい。先に帰ってなさい」


 ちっ。今日は落とせなかった。
 本当にダメな時は、いくらあがいてもこうやって断られる。

 分かってる。分かってるけど、なんだか腑に落ちない。
 あたしは拓海のことばかり考えているのに、拓海は患者さんのこととあたしのことと半々。

 これって不公平だと思わない?


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