燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

「……そう? なら泣いてないで笑わないと! あたし、拓海の笑顔、好き。大好き!」

 あたしは笑う。すると拓海も笑ってくれた。
 その笑顔にほっとする。


「うん。ありがとう。つばめちゃん」
「つばめでいいわよ。呼び捨てで」
「え?」
「クラスでも呼び捨てだし。あたしも拓海を呼び捨てだし。しかも拓海はあたしの婚約者なんでしょう?」


 拓海が頷いて、楽しそうに、ふふ、と笑って。
 そのあと真剣な顔になったと思ったら、まっすぐあたしを見る。

 そんな拓海に、あたしの心臓はやけにドキドキして……。
 壊れそうだった。


―――やっぱりこれは、恋よね?



「……つばめ」


 拓海の声で名前を呼ばれるのが、耳にくすぐったい。
 でも、嬉しくて……。

「そうよ! 拓海!」

 あたしは拓海に抱き着いていた。

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