燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

「だからね、心配しなくても、天馬はつばめさんのこと、好きだと思う」
「うん」
「それに僕はね、心療内科のエキスパートだ。目を見ればわかるよ。天馬は今、つばめさんがかわいくて仕方ない。ま、これはエキスパートでなくても誰でもわかりそうだけど。天馬って、好きな人には結構残念……いや、わかりやすいからね」
工藤先生は続ける。「だから安心して」


「うん、ありがとう工藤先生!」


 思わず抱きつきそうになったところを、ちょうど帰ってきた拓海が止めて。
 猫みたいにあたしを後ろから抱きかかえて工藤先生から引きはがした。


「つばめ? だめだよ、気軽に他の男に抱き着いちゃ。相手が工藤でも許さないよ?」
「あ、おかえりなさーい。拓海って、変態だったってホント?」


 あたしが言うと、拓海は何とも言えない顔になった。

「工藤、何言った!」
「えー。別にぃー? ほんとのことだよ」

 慌てる拓海に、あたしと工藤先生が爆笑して、その笑い声が室内に響くと、それにつられて拓海も笑った。
 あたしはその空間が心から、心地いいと思っていた。

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