燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


 それから時々、工藤先生が遊びに来てくれるようになった。
 あたしは記憶が全く戻ってなかったけど、工藤先生とは拓海の話をするようになった。あたしは、そのうち、病院にも顔を出すようになって、麗子先生にも会った。



 1か月ほどが過ぎた時、拓海はあたしに『入籍しない? そうすればもっと堂々と一緒にいられるし守れるから』と言った。
 あたしは迷うこともなく頷いて、その日、あたしたちは入籍した。

 その夜なにかあった……ということはなく、でも、初めてのキスを交わして、
 それから半月がたったいま、まだ、あたしたちはキス止まりだ。


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