燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
12章:あたしの好きな『つばめちゃん』の話(B side)
「拓海! こっち! こっち来て!」
「つばめ、走らないで」
その日の昼、久しぶりに出かけたあたしたちはインテリアショップを見て回っていた。
何件かテーブルを見て回って、でも、思うのが見つからなくて、
やっと一目ぼれするものが見つかったと思ったときにはもう日が落ちかけていた。
「いいの見つかってよかったね」
「届くの楽しみ!」
あたしがスキップしながら歩いていると、拓海はあたしの隣にきて手をつなぐ。
あたしはその手を強く握りしめた。
これって彼氏・彼女みたい。実際は夫婦なんだけど。
あたしがニヘラ、と笑うと、拓海もつられて笑った。