燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
「そもそも、それまで僕は、救急医としても外科医としてもたくさんの命を救ってきて、ちょっと天狗になってたんだ。しかも、結構モテたもんだから余計に」
「女の子といっぱい遊んだ?」
「いっぱい遊ぶほど時間もなかったけど……まぁ、それなりに、多少は……遊んだ」
「ふうん」
その話は、なんだか嫌い。
あたしが膨れると拓海は慌てたように、
「ごめん。正直、そういう時期だったんだよ。ストレスもたまる、時間もない、簡単に割り切れる付き合いならしたいって。そんな感じ」
「大人って最低」
「だよね。つばめちゃんはそういう僕も見透かしてたのかなぁって思ったり」
「それは、そんなことないよ。買いかぶりすぎ」
あたしが言うと、拓海は一つ大きく息を吐いた。