燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

「今も、記憶をなくす前も、つばめちゃんは純粋で……僕とは全然違うって思ってたから、触れるのが怖いんだ。一度触れるとタガが外れそうで」
「大丈夫なのに」

 あたしはそう言ったけど、拓海は優しいキスを額にしただけで、おやすみ、とあたしに言った。


 あたしは目を瞑った拓海の顔を見て思う。

 いいのよ、酷くしても。拓海のしたいようにしてほしい。
 あたしは拓海が与えてくれるものは、優しさも酷さもきっと全部大好きになるんだから。


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