燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
すると拓海はあたしに手を伸ばし、あたしの頭をなでる。
その心地よさに思わず許したくなる。でも、ぐっと唇を噛んで、怒っている、とむくれて見せた。
「……ごめん、今までは症例も病院で見てたんだけど。でも、病院より家で読んだほうがつばめと一緒にいられるでしょう」
拓海はそう言う。
ふーん。そうなの。ふーん……。
「……なら許す」
あたしが言うと、拓海はよかった、と笑った。
拓海はいつだって優しい。
そういえば、拓海が怒ったところ、声を荒げたところすら、ここでも病院でも見たことない。
拓海って怒ったりしないのかな?
拓海が怒ってるとこ、想像つかないな。