燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

 私は、黙り込んだ天馬先生の方を向いて、
「よかったです、3ヶ月くらいの記憶で。ドラマとかだと何年も記憶喪失とかあるじゃないですか。ほんと、全部記憶喪失とかだったら大変でしたもん」
と笑う。

 しかし、天馬先生は困ったような表情を浮かべていた。
 それを見ていると、私は不安に駆られる。

「え? 別に3か月くらいで、何も変わってないですよね……」

 なんだか胸がドキドキとしていた。
 聞きたいような、なんだか聞いてはいけないような。そんな気がした。


 そう思っていると、天馬先生は私の両腕をそっと掴んで、私に向き合う。
 その様子に、胸がドキリ、と一度、大きな音を立てた。

「それが……。この3か月で、つばめと僕は入籍して、今は一緒に住んでる」

 そんなことを言われて時が止まったかと思った。

 え? 入籍?
 一緒に住んでる?

 この三か月で?
 この三年、何もなかったのに⁉ ちょっと待ってよ。ホントに⁉


―――なんで⁉

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