燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


 あたしは本をぱらぱらめくりながら、目の前でまた難しそうな本を読みだした拓海をちらりと見た。

 ところで、不思議なことに、記憶がなくなった理由だけははっきりしない。
 寝ている間に勝手に記憶がなくなるなんてことあるのだろうか……。


―――もしそれが本当なら、次もまた急に、記憶がなくなる可能性もあるってこと……?


 その時。
 突然、胸がドキンと大きな音を立てた。

 そうか、変なことに気づいてしまった。
 あたしは、また、この記憶をなくしてしまう可能性もあるんだ……。


 そうするとあたしは『つばめちゃん』に戻るのかな?
 そっちのほうが拓海は嬉しい?

 そんなことないよね?


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