燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


「う、嘘でしょう」
「本当だよ」

 天馬先生の、その表情は嘘をついているように思えなかった。


(だから呼び捨てになってんの……?)

「ドッキリ?」
「違う」

 天馬先生が困ったように笑う。そして、右手で私の頬を撫でた。

「ひゃっ! な、なに……」

 暖かい手で優しく撫でられていると、なんだか背中がゾワゾワする。
 辞めてほしいと目で訴えてみても、天馬先生は決して辞めることなく、そのまますっと親指で私の唇をなぞった。

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