燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
「僕らは、親密で濃密な新婚生活を送っていた」
「……はい?」
なんだ、『親密で濃密』って。何かのCMか。
「いわゆる、ラブラブってやつかな」
「……らぶ、ラブ?」
ラブラブと言う言葉がこんなに似合わない人がいるのだろうか。
意味も分からなくて、私は固まる。
「毎日こうやって愛を確かめ合ってた」
そう言った途端、また抱きしめられる。
「ひゃっ! は、離して……‼」
さっきは、起きたてで抱きしめられても訳が分からなかったけど、今はなんだか違う。
やけにドキドキとうつ胸の鼓動は、自分のものではないように思えて、私は息をのむ。
心と体が切り離されたみたいな、そんな感覚。