燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
14章:あたしの気持ち(B side)
深夜、あたしが『拓海と写真撮りたいなぁ』ってつぶやいたら、拓海は笑って頷く。
そして浴衣を整え、あたしを後ろから抱きしめて、スマホで写真を撮ってくれた。
あたしはそのまま拓海を振り返り、
「これ、どうやって印刷するの?」
「ん? そうだなぁ。コンビニとかでもできるみたいだけど、みんなスマホに入れっぱなしのことが多いかな。……そういえば、つばめのスマホ、渡しておかないといけないね」
そう言われてあたしは拓海を見る。
少なくとも中学生のあたしは、スマホではなかった。
スマホ自体はもう発売されていたけど、当時、中学生が持つようなものではなかったのだ。
「あたし、スマホ持ってたの?」
「当たり前でしょ」
拓海は言う。「でも、今までのつばめが使ってたものだから、どうかなぁって思ってたんだ」
「そっか」
「でも、あった方が便利だもんね。帰ったら渡す。あとそれにこの写真送るからね」
「やった! じゃ、写真、待ち受けにする」
あたしがそう言うと、拓海も、僕もそうする、と笑った。
にい、とあたしは口端を上げて拓海を見る。
「あたしたちバカップルだね」
「いいんじゃない」