燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

 すると、後ろに工藤先生がやってきていた。

「不安はなくなった?」
「うん」
「ねぇ、工藤先生。聞きたいことがあるの」
「ん?」

 あたしはスマホを取り出すと、

「これ見て!」

と言う。それは、つばめちゃんのスマホ。

 シルバーで、飾りっ気がなく、ワンポイントの猫の絵柄が入ったスマホケースはかわいいとは思うけど、あまりあたしの好みじゃない。

 あたしはもっとかわいいのがよかったなぁ。


「つばめさんの?」
「うん。これで離れてるときも拓海にメール送りまくってる」
「あはは」
 工藤先生は笑う。

「でね……聞きたい事がある」
 あたしが言うと、工藤先生は目を細めて頷いた。


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